先日、静岡県の掛川に行ってきました。掛川までは、行きは、JR東海バスの高速バスを東京駅から利用し、帰りは、東海道新幹線で掛川駅から東京駅までこだまを利用しました。
掛川からの帰りの東海道新幹線では、N700Aの車両に乗車。フリーWi-Fi「Shinkansen Free Wi-Fi」も使えることもあって、いろいろと検証をしてみました。
今回、こだまを利用しましたが、検証の結果は、2022年4月現在のものです。今後、随時状況が変わる恐れもありますので、必ずしも鵜呑みにしないようにしてください。
なお、のぞみ・ひかり・こだまで設置されているフリーWi-Fiは、すべて同一仕様です。
Shinkansen Free Wi-Fiとは?
Shinkansen Free Wi-Fiとは、東海道・山陽・九州新幹線で提供されている、JR東海・JR西日本・JR九州が提供するフリーWi-Fi(公衆無線LAN)サービスです。
当然ながら、フリーWi-Fiなので、誰でもWi-Fi対応端末を持っていれば、無料で使えます。
設定&仕様について
設定の仕方は、SSID(Wi-Fiの名前)「Shinkansen_Free_Wi-Fi」を選択すれば大丈夫です。暗号化がなされていないので、セキュリティキーの入力は不要です。
利用にあたっては、メールアドレスもしくは、SNSのアカウントが必要です。メールアドレスは、GmailなどのフリーメールでOKです。
1日に回数は無制限で使えますが、1回の接続は30分のみです。
帯域が限られていることから、OS(iOS・Android・Windowsなど)のアップデートや、Google Play、App Store(iPhoneのアプリストア)からのダウンロード・更新は、128kbpsに制限されます。
なお、誰でも簡単に使えるようにしているため、暗号化がなされていない通信での接続になります。第三者に通信を傍受される恐れがあることも頭に入れて下さい。対策として、「NordVPN」といったVPNを使って下さい。
回線について
JR東海所属のN700Aでは、NTT-BPの設備でした
今回乗車したのは、JR東海のN700A。JR東海のN700Aは、NTT-BPの設備のようでした。
ちなみに、東海道新幹線では、車内チャイムがTOKIOの『AMBITIOUS JAPAN!』が流れていれば、JR東海の車両とわかります。余談となりますが、JR西日本の車両では、谷村新司が手掛けた『いい日旅立ち』が流れます。
JR東海・九州の車両はNTT-BP、JR西日本はワイヤ・アンド・ワイヤレスが担当とのこと
なお、インプレスのトラベルWatchによると、JR東海とJR九州の車両は、NTT-BP、JR西日本の車両は、KDDI系のワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)がそれぞれ、「Shinkansen_Free_Wi-Fi」を提供しています。
ワイヤ・アンド・ワイヤレス 佐藤氏:そうですね。JR西日本さんの「Shinakansen Free Wi-Fi」車両は弊社(Wi2)が機材やネットワークを担当しましたが、JR東海さんとJR九州さんの車両はNTTグループさんが担当しています。そのため、車両もネットワークも機材も違うものをお客さまから同じサービスとして見えるように作る必要があったわけです。しかもそれぞれに推奨している機器が違って、それらの仕様も合わせて、動作するように開発をすすめたわけです。
バックボーン回線は、JR東海・JR九州の車両では、おそらくNTTドコモ、JR西日本の車両では、KDDI(au)回線を使っているようです。
NTT-BPの回線は、IPv6に非対応
JR東海のNTT-BP設備を使った「Shinkansen_Free_Wi-Fi」ですが、残念ながら、IPv6には対応していません。
IPv6は、最近は対応回線が増えてきたものの、まだまだIPv6でしか使えないWebサービスはほとんどありませんので、対応してなかったからと言って、困ることはありません。
スピードテストの結果はそこそこ
フリーWi-Fiを使うなら、絶対に欠かせないスピードテストを行ってみました。
定番のSpeedtest by Ooklaでは、下り7Mbps程度、速度が正確に出るとされる、ブロードバンドタワー系のバックボーン回線を利用した日本のインターネット中心地の大手町にサーバがある「iNoniusスピードテスト」では、下り15Mbpsでした。
後述しますが、15Mbps程度出ていれば、4K動画をYouTubeで見ない限り、困ることはありません。
使用感は?
YouTubeの閲覧は非常に快適
東海道新幹線のフリーWi-Fiでは、YouTubeの閲覧は非常に快適でした。イメージするなら、まるで、固定回線と遜色ないサクサク感を実現しています。
これも、下り10Mbps程度出ていれば当然のことですが、東海道新幹線において、YouTubeは問題ないと言えます。帯域制限もかかっていないので、乗車中はずっと見ていても大丈夫です。
ニコニコ動画も問題なし
YouTubeだけでなく、ニコニコ動画も快適に再生ができました。
こちらから、東海道新幹線のフリーWi-Fiにおいて、動画コンテンツは全く問題なく見れることがわかりました。
検証していませんが、Amazonプライムビデオ、Netflix、U-NEXTなども問題なさそうです。
VPNも接続可能
東海道新幹線のフリーWi-Fiでも、VPNの使用は可能です。
VPNについては、北海道・石狩データセンターにあるさくらインターネットのVPSに入れたSoftEtherのソフトウェアを使ったL2TPのVPNで、東海道新幹線のフリーWi-Fiのセキュリティ対策として使っていましたが、問題ありませんでした。
ただし、東海道新幹線のフリーWi-Fiのルール上、1回30分で接続が切れるので、VPN接続も同時に切断されます。
こちらについては、フリーWi-Fiの調子が悪くなったのではなく、もともとの仕様ですので、再度、ログインし直せば、問題なく再びVPNを使えます。
また、東海道新幹線のビジネス向け車両で展開されているフリーWi-Fi「S Wi-Fi for Biz」については、接続時間の制限はないので、VPN接続は乗車中ずっと利用できるはずです。
リモートデスクトップも問題なし
MicrosoftのRemote Desktopアプリを使って、東海道新幹線のフリーWi-Fiのネットワークを経由して、北海道・石狩にあるさくらインターネットのWindows ServerのVPSにリモートデスクトップ接続をしてみました。
結果として、リモートデスクトップは、高速走行中ということを忘れるようなスムーズな操作ができました。
ただし、2021年に上越新幹線(上毛高原〜高崎間)で同じ環境でリモートデスクトップを試してみましたが、もっさり感が否めず、使い物になりませんでした。
しかし、東海道新幹線のフリーWi-Fiは、上越新幹線と同じ携帯電話ネットワークをバックボーンとしながらも、カフェなどと同様の操作感でリモートデスクトップを利用できるのは評価すべきです。
テレワークやリモートワークで、シン・テレワークシステムなどを使われる方もいらっしゃると思いますが、基本的に、リモートデスクトップなら問題ありません。
そもそも、東海道新幹線の携帯電話回線についてどう?
東海道新幹線のフリーWi-Fiについては、NTTドコモもしくはKDDI(au)の携帯電話回線をバックボーン回線として使っているものと思われます。
もちろん、データカードやモバイルWi-Fiルーター(いわゆるポケット型Wi-Fi)を持っていれば、東海道新幹線車内でも携帯電話の電波を利用できるので、問題なく使えます。
なお、携帯電話ネットワークにおいては、筆者の経験からすると、東海道新幹線は、東北・上越・北陸新幹線などと比較すると、エリア対策がしっかりなされているようです。接続断も発生しづらいですし、速度も速いですし、問題ありません。
以前、東海道新幹線ののぞみ車内にて、NTTドコモ回線を利用した格安SIMのmineo回線で、ニコニコ動画で配信されたアニメ『少年ハリウッド』の生配信もスムーズに見れたので、最高時速285kmでも、ハンドオーバーなどはしっかりとできるように考慮されているようです。
東海道新幹線のフリーWi-Fiが繋がらないときは?
そもそもWi-Fi自体が繋がらないときは?
そもそも東海道新幹線のフリーWi-Fiに繋がらないときは、端末のWi-Fiをオン・オフを繰り返してみてください。それでもダメなら、端末を再起動することも試してみて下さい。
東海道新幹線のフリーWi-Fiは、業務用のアクセスポイントを使っていると思われますが、接続端末によっては相性があります。
接続して30分で繋がらなくなったときは?
東海道新幹線のフリーWi-Fiは、1回30分の接続制限があります。30分経過後は、有無を言わさず、Wi-Fi接続端末において、インターネットを遮断します。
その際は、再度、Yahoo!JAPANのトップページ(http://yahoo.co.jp)など、URLがhttpsから始まらないサイトを開いて下さい。自動的に、ログインページにリダイレクトされるので、再度ログインして下さい。
繋がっても速度が遅いときは?
東海道新幹線のフリーWi-Fiは、複数人で回線と電波を共用する形です。
そのため、お盆や年末年始、GWなど、東海道新幹線が満席のときは、フリーWi-Fiを使うユーザーも多くいます。そのため、Wi-Fiの電波には限りがある上、アクセスポイントも業務用のもので接続可能台数には余裕があると思いますが、速度が遅くなってしまうこともあります。
東海道新幹線の混雑時は、Wi-Fiを使うのを諦めて、スマートフォンのテザリングや、モバイルWi-Fiルーター(いわゆるポケット型Wi-Fi)を使うのがストレスレスです。
テザリングならau回線のpovoが24時間330円のデータトッピングがあるので、新幹線に乗る日のみ購入はかなりアリです。それか、楽天モバイル回線でのテザリングは、もうひとりの筆者である白田が試したところ、トンネルとかは断線があるもののPC作業はあまり問題なさそうなので、総じてフリーWi-Fiよりもスマホテザリングの方がつなげやすく、速度感も抵抗なく、使い勝手は良いです。
楽天モバイルの場合、最強プランの登場でデータ無制限になった影響はこれから出てくるかもしれないですが、普段から楽天回線だったり、フリーWi-Fiの接続にストレスを感じてきたら副回線として月980円(税込み1078円)での運用ができる楽天モバイルは良い選択肢といえそうです。最近は対応端末が増えてきた印象です。
安全性は?
東海道新幹線のフリーWi-Fiは、セキュリティキーの入力が不要になっているため、暗号化による通信の保護がなされていません。
そのため、第三者からの通信傍受の可能性があることは否定できませんし、セキュリティ的にはあまり良い状態とは言えません。
最近では、SSL通信(暗号化)に対応したWebサイト(URLがhttpsから始まるサイト)が増えてきているため、そこまで気にする必要はないかもしれませんが、念の為、オンラインバンキングの利用や、クレジットカード番号の入力を行うサイトの利用は控えてください。
なお、「NordVPN」といったVPNを使えば、セキュリティを向上させられます。フリーWi-Fiの利用が多い方は、VPNの利用を検討してみてください。
まとめ
東海道新幹線のフリーWi-Fi「Shinkansen Free Wi-Fi」は、非常に快適です。
ただし、1回の接続は30分のみなので、多くの方が乗車される東京〜新大阪間の2時間半だと、少なくとも4回は接続のし直しが必要です。これは、改善されてほしいとしか言えません。
バックボーンとなる携帯電話回線も快適ですので、セキュリティが気になる方は、スマホテザリングもしくはモバイルWi-Fiルーター(いわゆるポケット型Wi-Fi)を使うのもアリですし、VPNでセキュリティ対策をするのもOKです。
繰り返しになりますが、スマホテザリングのおすすめはpovoの24時間無制限トッピングか、楽天モバイル。モバイルWi-Fiルーターのおすすめは、短期利用想定でWi-Fiレンタルどっとこむです。VPNのおすすめはNordVPNです。
やはり、YouTubeも快適に見れますので、ビジネス利用だけでなく、娯楽利用も問題ありません。Amazonプライムビデオ・U-NEXTなどの動画サブスクにも問題ありません!
今回は、掛川〜東京間での検証となりましたが、また、東海道新幹線に限らず、他の特急・新幹線に乗車した際には、フリーWi-Fiのレビューをしたいと思います。